基本 / フォアハンドグリップ / その2

種類コンチネンタルイースタンセミウエスタンウェスタンフルウェスタン
打点の高さ一番低い(腰くらい)低い(長身の人向き)脇の下くらい肩の高さ(低身長の人向き)肩より上
苦手な高さ肩より高い打点肩より高い打点なしなし膝下
リーチ一番遠い遠い(ベテラン向き)中間近い一番近い
握力かなり必要(大)小(低学年向き)
スタミナ省燃費
イメージしやすい手首の使い方回内(うちわの動き)とボールが飛ぶ方向が同じ回内すべて中間1.打つ方向と掌屈(トンカチの動き)が同じ
2.回転をかける方向と回内が同じ
掌屈
スピンのかけ易さ難易度DCAAA
フラットの打ち易さAA(一番カウンターが打ち易い)BCD
スライスの打ち易さAABC
ドロップショットの打ち易さAABBE(握りかえるしかない)
得意なコート芝、オムニ芝、オムニ、ハードオールラウンドハード、クレー(※1)クレー
苦手なコートクレークレーなし芝、オムニ芝、オムニ
ダブルス向きかCBAAC
どんな人におすすめ習得難易度が一番高い高身長の人、スタミナがないベテランほとんどの人握力がない人、およそ身長165cm以下の人およそ身長160cm以下の人
※1 クレー:クレーの他に、アンツーカー、グリーンサンドなど球足の遅いコートを含みます。
目次

メリット・デメリットについて

どのグリップにも、打ちにくいボールと返しにくいボールが存在します。しかし、工夫次第で回避することができます。

このデメリットの部分をなくすことで、対戦ムラをなくすことができます。

地域ネタになりますが、関東学生一回戦負けで4年間終わってしまう人は、この苦手を克服する努力を怠ったプレーヤーの可能性が高いです。もちろん、インターハイ出ていないところから関東学生に出場したら大したものです。

最適打点について

ラケットは、必ずラケット面が地面と水平の状態でインパクトしなければいけないというわけではありません。下図のようにラケットを立てて高い打点を打つことができます。低い打点は、ラケットヘッドを落として打つことができます。

打ちにくい高さについては、将来的には、これで解決。逆に、これができないと、前後に大きく動かないといけません。

この他に膝の曲げ伸ばしで調整もしますが、この方法しかしらないと、太ももが競輪選手のように太くなります。また、深く膝を曲げすぎると腰が回りにくくなるので、何をしているのかわからないほど汚いフォームになっていきます。

コンチネンタルグリップ

ストロークの習得難易度が一番高い。これは回内運動を入れて思いっきりひっぱたくという条件の場合です。昔風のスウィングの人はいっぱいいますが、大体肘を壊しています。

フォアハンドスライスは一番打ちやすい。

また、リーチが一番長いので、下図のように困ったときはプロでもこのグリップで返します。

この他にドロップショットの対処、ボレー、サーブもこのグリップを使用しますから、避けては通れない重要グリップです。

強烈なスピンは打てないが、スライスが打てる。テクニシャンにおすすめ。

生きの長い名選手が多い。

選手としては、フェデラーのコーチだったステファン・エドバーグという名選手がいます。彼はシングルス・ダブルスともに同年の世界チャンピョンになっていたこともあります。この偉業はスタミナを必要とする厚いグリップでは難しい。それと、さすがにフレンチオープンだけは優勝できませんでした。

女性では、少しイースタンよりですが、ステフィー・グラフという男女通して年間ゴールデンスラムを取った唯一の選手がいます。他にも多数の名選手がいます。

このグリップは低学年ジュニアのときには、使えないので途中で変更したことになります。

イースタングリップ

リーチも長く、手の平の向きとラケット面の向きが同じなのでボールを叩くイメージがしやすいグリップ。オムニコートが多い日本では、低いボールに強いこのグリップはベテラン上級者に多い。肩より高い緩いボールが苦手。

ベテランとスタミナがない人。手が短い人におすすめ。

下図のように追い込んだはずのところからクロスにカウンターを食らうのはこのグリップのプレーヤーのとき。手をいっぱいに伸ばしても打てるのは、このグリップとコンチネンタルだけ。

選手としては、フェデラーという名選手がいます。生涯グランドスラムを最多でとっている選手です。それでもさすがにフレンチオープンでは苦労しています。

忘れてはいけないのが、日本人の伊達公子選手という名選手がいます。頭より高い打点でも相手のコートに刺すような弾道のボールを打つことができました。通常なら打ちにくいずの高さを工夫して武器にしたことになります。

日本人男子では、鈴木貴男という名選手がいます。フォアハンドから切れのいいカウンター気味のスライス&ネットプレーというすごい武器をもっていました。ギャンブルなしに自分のテニスを押し出してフェデラーにファイナルセットを戦った選手です。

また、傾向として、コンチネンタル同様に生きの長い選手が多いです。

セミウエスタングリップ

すべてにおいてバランスの良いグリップ。シングルス、ダブルスともに使いやすい。高い打点、低い打点も打ちやすい。サーフェースも選ばない。

デメリットがあるとすれば、鋭いカウンターも打てない。強烈なスピンも打てない。すべてにおいてそこそこのボールしか打てない。

選手としては、生涯ゴールデンスラムを達成したアンドレア・アガシという選手がいます。

ウエスタングリップ

高さの変化に一番強いグリップ。頻繁に高いボールの処理が必要な165cm以下の人にはおすすめ。肩の高さに打ちやすいポイントがあるのでチャンスボールの処理を覚える難易度が低い。

打つフォームを正面から見ると腕とラケットが直線になるので遠心力がもっとも使いやすい。トンカチを打つような動作でヒットするので、ボールに力を伝えるイメージが一番しやすい。

選手としては、ジュニアでも真似できるくらいきれいなスウィングのノバク・ジョコビッチという選手がいます。他にも名選手が多数います。

フルウエスタン

強烈なスピンが打てる。上級者なら、ストロークのグリップで唯一バウンドの方向が変わるくせのあるボールが打てる。肩より高いボールを強打できる唯一のグリップ。右肩が前に出ても打てる唯一のグリップ。なので高い打点から鋭角な順クロスが普通に打てる唯一のグリップ。膝下の低いボールに致命的に弱いので、工夫が必要。フレンチオープンでは、圧倒的に有利。ウインブルドンでは圧倒的に不利。

選手としては、ラファエル・ナダルという選手がいます。フルウェスタンでウインブルドンを優勝したのすごいことです。

フルウェスタンでランキングに登場する多くの選手が、早めのハードコートなどでは、トーナメントの初盤で姿を消すことがあります。種を明かすと、その分ヨーロッパのアンツーカーでポイントを稼いでいます。

というわけで、ハードコートでの実力は、ランキングの割にはありません。このグリップの選手は、名選手と呼ばれることはあまりなく、鉄人と呼ばれることが多い気がします。

実績のあるメソッド

ジュニアは、フルウエスタンにならないように注意していました。油断すると高い打点を処理するためにグリップがズレてしまうので時々確認していました。中学生で一段階薄いグリップにする予定だったので、逆方向に変わらないように気をつけていました。

なぜなら、日本ではオムニコートとハードコートがメインなので、フルウエスタンまで必要ないからです。

ベテランは、これからどんどんコートカバリングが遅くなるので、リーチの長いイースタンから悪くてもウエスタンの間でその人に会うグリップをおすすめしていました。

どのクリップからスタートしても、少ない時間で上達するようにカリキュラムを設計してありました。

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